建物さんぽ

細やかな想いを感じられる空間「青淵文庫・晩香廬」

建物を贈る。

至る所に繊細なオリジナリティが散りばめられていて、贈り主が相手のことを思って作ったものなのだと感じることの出来る空間。そこは、細部までじっくりと見ていたくなる場所でした。

 

第2回の建物さんぽへ

さてさてそんな建物が今回私が向かった、王子駅から徒歩7分程の位置にある青淵文庫(せいえんぶんこ)と晩香盧(ばんこうろ)になります。

王子駅から少し彷徨って、ふたつのある公園に辿り着きました。(方向音痴)

2つの道に分かれていて私は先に晩香盧に向かったのですが、青淵文庫でないと入館券が買えないので先にそちらへ。(こういう分かれ道ではついハズレの方を選んでしまいがち、ドラクエとか)

 

青淵文庫へ

雨が滴る緑のアーチをくぐってみると(第2回も雨模様)、おぉ見えてきました…

 

青淵文庫は、渋沢栄一の80歳(傘寿)のお祝いと、男爵から子爵への昇格祝として竜門社が寄贈した建物です。竣工は、1925年。

完成目前に関東大震災のために一時工事中断となり、震災の経験を活かし再工事が行われました。元々収蔵する予定であった書物が消失したため、竣工後は主に来客の場として使われたようです。

柏の葉とどんぐりがあしらわれたタイルが貼られています。タイル作りは全ての工程が手作業で行われていて、手作りの温かみも感じられます。数としては、2700枚にもなるそう。

 

中へ入ってみましょう

まずは入館券を購入。今回私は2つの建物のみだったので300円。他にもこの公園には博物館などがあるのでそちらもすべて見ることになると900円のようです。時間があれば全部回りたかった~また来よう。

中は、階段部と閲覧室のみ撮影可になってます。

 

まずは閲覧室へ

こちらは、応接室として使われた場所です。

真っ先に目に留まるのがこのステンドグラス。

渋沢家の家紋をモチーフにし、柏の中央に壽(寿)の飾り文字、文字の周辺には唐草、雲などが見えます。両脇には昇り竜と降り竜。竜は送り主の竜門社の名前にちなむと言われているようです。お祝いのために建てられたこともあって、縁起の良いもので飾られています。

 

カーテンで見えづらいですが、端に竜が見えます。外からのが見やすいかも。

 

さてステンドグラスを堪能したところで、ゆっくりじっくりと他も見ていきましょう。

入って右側の壁の下の方にはこんな柄が

こちらは電気ストーブ。大理石で囲まれて中は素敵な模様。こちら、スチーム機能もあったとか。

 

下を向いてみると、絨毯にこんな図柄が。

コウモリモチーフのようです。コウモリは縁起の良いものとされてきたそうで、そちらが描かれています。

 

壁を彩る柄は材質も色味もそれぞれ違います。ですが、柄同士が喧嘩しない。そしてどれも細やかで美しい。散りばめられた装飾が繊細でうっとりするのですが、それぞれがとても穏やかな色味でしっとりとした雰囲気です。

 

 

ここで蔵書を読む、なんて贅沢で幸せな時間なんだろう。空間だけでなく、時間までもこのプレゼントには詰まっているのでは…と感じずにはいられないとても気持ちの良い場所でした。

 

続いて階段室へ

2階へ続く階段室はこのような作りになっています。

つい立ち止まって魅入ってしまう美しさを持っています。ここで何かドラマが生まれそうな、そんな空気をつい感じてしまう。窓から差し込む柔らかな光が、高さのある窓から降り注いでいます。八角柱の縦長のペンダントライトも主張が激しいわけではありませんが、この空間をさらに美しいものにしています。

上へ上へ繋がる幾何学模様の不思議な手摺の横を、ゆったりと登ってみたくなりますね。下から眺めることしかできないのが残念です…

 

晩香廬へ向かいます

「晩節を清く」という思いを込めて名付けたそうです。こちらは、渋沢栄一の喜寿のお祝いとして現在の清水建設にあたる清水組が贈った洋風茶室になります。丈夫な栗材で仕上げられています。主に賓客を迎える場として使用されました。

土壁で仕上げられた外壁の軒下部分では、唐草模様の灯りが優しく灯っています。建物の雰囲気とぴったりです。

外壁の四隅には微妙に色みが違うタイルが貼られています。

 

内観につきましては撮影不可のため、写真でお届けできないのですがとても細やかな気遣いを感じられる空間になっています。

天井にある装飾は、リスや鳩、ぶどうが潜んでいたり。開口を広く三方にとっているため、日の光がたくさん入る明るい空間です。

談話室の暖炉は外壁のような色味のタイルで仕上げられていて、栗材の色合いとぴったりに合わせられています。そのほかの調度品についても、その雰囲気を損なわない味わいのあるものが揃えられています。

中にある椅子に座ることも可能なので、座ってこの空気感をぜひ味わってみてください。

 

さて、ここまでとなります。次なる目的地はどこかな?